昨日よりも今日。今日よりも明日。

第2四半期をむかえて

(平成22年 7月1日 市長庁内放送より)

ご来庁の市民の皆様、そして職員の皆さん、おはようございます。
東村山市長の渡部尚です。

梅雨に入り蒸し暑い日が続いておりますが、お元気でお過ごしでしょうか?市民の皆様には、市政推進にあたり、日頃より深いご理解と温かいご協力を賜り、心より感謝申し上げます。職員の皆さんは、新年度がスタートしてから3ヶ月が経過し、異動された方や新入職員の皆さんも職場に慣れたことと存じます。皆さんには、私の掲げる「みんなで創るみんなの東村山」を基本姿勢として、日頃より市民の皆様とともに東村山市の安心と安全、活力と魅力あるまちづくりに取組んでいただいていることに感謝申し上げます。

 

■さて、6月5日から20日にかけて開催されました、北山公園の「第22回菖蒲まつり」におきましては、これまで以上に多くの市民・事業者の皆様にご協力をいただくとともに、全庁的な応援体制のもとでの多くの職員の参加により、「菖蒲まつり」が新たな次元に向けた大きな一歩を踏み出した、と感じることができました。

今年は、東村山駅西口の再開発事業完了後初めての「菖蒲まつり」であることから、新たな取り組みとして、都庁1階の東京観光情報センターをはじめ、東村山駅西口のぺデストリアンデッキや、サンパルネ内の産業・観光案内コーナーにおいて、観光ボランティアの皆様との協働により、パネル展示などのPR活動を展開いたしました。これに加えて、西武鉄道さんにも例年以上にPRに力を入れていただくとともに、マスコミへのアプローチも精力的に行った結果、NHKなどのテレビ番組や、旅行雑誌「読売旅行」などにも取り上げられたところです。

今年は、天候不順の影響で開花時期が遅れたことを受けてか、残念ながら「菖蒲まつり」開催期間中の入場者数は昨年より若干少なくなり、8万1千人でした。しかし、終了後も多くの方にお越しいただき、終了後の来場者を含めますと、27日の日曜日までに9万5千人を上回っております。また今回、「菖蒲まつり」の最終日である20日には、西口広場の区画道路の一部を活用し、地域の方々により「てんしゃばフェスタⅡ」が開催され、相乗効果を挙げることができました。商工会をはじめ、数多くの団体や市民・事業者の皆様、そして所管をはじめとして応援いただいた職員の皆さんに、改めて心から感謝申し上げます。

今後も、当市の豊かな自然や歴史遺産、食文化などの地域資源を活かした観光事業を推進し、新たな出会いや交流を生み出すことで、賑わいのある「元気な東村山」づくりを市民の皆様とともに進めてまいります。

 

■さて、国内外の政治の動きに目を移しますと、昨年9月の政権交代で発足した鳩山内閣でしたが、政治と金をめぐる問題や、普天間基地移設問題などにより、わずか9ヶ月で首相が辞任するという事態になりました。その後就任した菅首相は、「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体として実現する」とし、景気回復と財政再建の両立と、持続可能な社会保障制度の構築に意欲を示しました。

世界では、ギリシャの財政危機をきっかけとして、各国の財政に対する関心が高まっており、先月27日に閉幕した世界20カ国・地域首脳会議(G20)においては、「先進諸国は2013年までに財政赤字を半減させる」という目標を定めました。財政悪化が深刻な我が国は、この目標達成は困難と判断され、事実上例外扱いとされたところです。それでも、国と地方の借金総額が本年度末には1千兆円に迫る見込みである我が国においては、ソブリン・リスクが高まっていることから、財政再建が待ったなしの課題であることには変わりはありません。

そのような中で、菅首相も消費税増税に言及するなど、「如何に財政を立て直していくか」が、11日に行われる参議院選挙の争点の一つとなっております。消費税増税を含む税制改正論議の行方については、参議院選挙の結果が出てみませんことには、何とも申し上げられません。いずれにしても、国の歳出削減の圧力は、今後より一層高まるものと懸念されるところです。本年度は、地方交付税の総額が11年ぶりに1兆円以上の増額となり、当市においても、昨年度に比べると約4億円の増となりました。しかし、来年度も本年度並みの額が確保されるかは、極めて不透明と言わざるを得ません。我が国の財政再建は焦眉の急の課題であり、地方自治体も含めた国民的議論が、今後広く進むことを期待するところです。

一方で、国の一部から出ている「地方自治体のプライマリーバランスは国より良いのだから、地方交付税等を削減すべき」との論議は、到底承服できるものではありません。国よりもプライマリーバランスが良いのは、東村山市を含めた地方自治体では、職員数ならびに職員給与の削減など、これまでに血のにじむような行革努力を進めてきたからに他なりません。市民生活に直結する市政をお預かりしている私としましては、今後も国の財政再建論議に注視し、安易な地方交付税削減を許すことなく、財政・税制面においても真の「地域主権」となるよう、市長会などを通じて強く求めてまいりたいと考えております。

 

■さて、当市の21年度決算の概要がまとまりましたので、簡単にご報告いたします。
21年度の財政状況として、歳入においては、20年度からの景気悪化の影響を受け、法人市民税などの市税や税外収入など、収入の多くが予算額を下回る結果となりました。一方で歳出においては、生活保護費をはじめとする扶助費の増などの影響を受け、厳しい財政運営を強いられたところです。 こうした状況に対応すべく、職員給与の適正化、職員数の削減、事務事業の見直し、収入の確保など、行財政改革に努力を尽くすとともに、苦渋の選択として、3月補正では昨年度に引き続き、退職手当債の発行に踏み切らせていただきました。

こうした努力に加えて、国民健康保険特別会計に占める医療費の割り合いが想定したほどに伸びず、その結果として一般会計からの繰出額が抑えられたこと、東京都の市町村総合交付金が増となったこと、また、地方交付税ならびに臨時財政対策債が当初の想定を超え大幅に伸びたことなどから、昨年度に引き続き21年度についても、財政調整基金を取り崩すことなく、一般会計・特別会計全てにおいて黒字決算とすることが出来ました。更には、予想以上の剰余金を確保することもできた次第です。この余剰金については、財政調整基金などに積み立て、今後の不測の事態に備えていきたいと考えております。

給与改定や職員数の削減などの行政改革にご理解とご協力をいただきました市民の皆様、そして職員の皆さんに、改めて心より感謝を申し上げる次第です。

ただし、黒字とはなったものの退職手当債を発行しての黒字です。これで安心するのではなく、今後も引き続き行財政改革と収入確保に努め、退職債や財政調整基金からの繰り入れに頼らずとも単年度収支が均衡するような行財政構造の構築に向けて、更なる努力をしてまいります。

 

■次に、「(仮称)自治基本条例をみんなで考えるための手続きに関する条例」について申し上げます。
3月議会で可決された本条例に基づき、去る6月23日に「第1回東村山市自治基本条例市民参画推進審議会」が開催されました。本審議会は、明治大学政治経済学部の牛山久仁彦教授をはじめ、学識経験者や市民など10名の委員で構成され、自治基本条例の策定の是非や、市民参画及び協働の方策などについてご審議いただく予定です。自治基本条例とは、まちの基本理念や市政運営の基本原則を宣言し、自治に関わる市民・議会・行政の権利と責務、役割、そして市民参加・協働など住民自治の仕組みを定めるものです。現在では、全国の100を超える自治体において制定されておりますが、まちの「自治のかたち」に関する条例の制定が広がる背景には、地方分権が進展する一方で、産業構造の変化や高齢化・人口減少などに伴う「地方の疲弊」や「地域の崩壊」といった重い現実があると思っております。

私が「自治基本条例」の制定を市長選の公約に掲げた背景にも、人口減少・高齢化・グローバル経済の進展、地方分権という歴史的転換期に立つ今日、私たちが希望を持って生きていくためには、生活する場としての東村山に、どのような改革とまちづくりが必要なのか、という問題意識がございました。

私は、こうした厳しい現実の中でも希望を持って生きていくためには、自然や他者とのつながりをより豊かにし、都市の中に新たなコミュニティを築いていく必要があると考え、「自然との共生」「家族愛」「地域の支え合い」の理念のもと、地域資源を活用し、市民と行政との協働の中から地域の活力を生み出し、自立した自治体への歩みを進めていくことを基本方針としております。そのためにも、「みんなで創るみんなの東村山」をモットーとして、分権時代にふさわしい「自治のかたち」を築くことが重要であると考え、自治基本条例の制定を選挙公約の一つとしたところです。

国は、6月22日に地域主権戦略大綱を閣議決定しましたが、その中で「地域主権改革は、単なる制度の改革ではなく、地域の住民が自らの住む地域を自らの責任でつくってという『責任の改革』であり、民主主義そのものの改革である。」と述べられています。当市における自治基本条例制定への取り組みと、その是非を含めた論議のプロセスは、まさに「地域の住民が自らの住む地域を自らの責任でつくっていくという『責任の改革』」につながるものと考えておりますし、また、そうした大きな流れにしなければならないと思っております。

今後、審議会の中では、市民の皆様が東村山の自治をともに学び、ともに考え、一人ひとりのご意見を積み重ねる方策について論議していただきます。この機会に是非、市民の皆様には、ご自分もこのまちをつくる一員なのだと意識していただき、わがまちの自治のあり方について考えていただき、ご意見をお寄せいただきたいと存じます。また、職員の皆さんには、市民参加・市民協働は確かに時間もエネルギーも要する大変なことではありますが、明日の東村山市の自治の扉を開くため、職員一人ひとりが自分の業務の中でしっかりと向き合っていただきたく、お願いいたします。

 

 

さて、サッカー・ワールドカップでは、日本代表チームが事前の予想を覆す大活躍をしました。一昨日のパラグアイ戦では、惜しくもPK戦の末に敗れたものの、私たち日本人に大きな希望と勇気を与えてくれました。改めて、一人ひとりが最後まであきらめないで努力すること、そしてチームが一丸になることの大切さを教えてもらったと思います。私たちも本田選手や遠藤選手たちを見習って、「チーム東村山」として頑張っていきましょう。このまちに希望と勇気をもたらすために!

最後となりましたが、市民の皆様、職員の皆さんのご健勝とご多幸をご祈念させていただき、第2四半期当初の市長あいさつといたします。
ご静聴ありがとうございました。
 
平成22年7月1日  渡 部  尚